仙台赤十字病医誌 Vol. 18, No. 1, 13-21, 2009

総説

ヘノッホ・シェーンライン紫斑病の病態と根治治療

仙台赤十字病院 小児科

永野千代子

A New Approach to Pediatric Henoch-Schönlein Purpura: Review of
a 8-year Experience in Japanese Red Cross Sendai Hospital

Department of Pediatrics, Japanese Red Cross Sendai Hospital

Chiyoko NAGANO

要旨

小児に好発するヘノッホ・シェーンライン紫斑病はこれまで原因が不明とされ,治療方法も確立されておらず,再発や腎炎の合併が臨床上の大きな問題であった。しかし,扁桃炎や上気道炎と共に発症する患者がいることから,何らかの感染が関与している可能性が指摘されてきた。我々は歯科と耳鼻咽喉科との共同研究により,この疾患の背景には鼻・副鼻腔及び口腔の病巣感染巣が潜在しており発症や病態に関わっているとする臨床データを発表してきた。本稿では我々がこれまでに行った研究成果を報告し,疾患の病態に基づく新しい治療のアプローチを展望する。


Key words: Rhinosinusitis, Periodontitis, Tonsillectomy, Vasculitis, Nephritis