仙台赤十字病医誌 Vol. 17, No. 1, 113-119, 2008

看護研究

予後不良児を持つ母親への精神的支援の一考察

仙台赤十字病院 看護部 (4A病棟)

宮嶋ゆかり   古川三夏子   石川 幸子
山田いづみ

Mental Support for a Mother Whose Child has Poor Prognosis

Ward of 4A, Japanese Red Cross Sendai Hospital

Yukari MIYAJIMA, Mikako FURUKAWA, Sachiko ISHIKAWA
and Izumi YAMADA

要旨

近年,周産期医療の進歩により,多くの低出生体重児が救命されるようになった。今回予後不良と診断された染色体異常の極低出生体重児とその母親が,母子関係を形成するのに長期間を要した事例を経験した。その事例を分析し,看護師の対応について考察を加えた。その結果,医療者側が母子関係形成のために行った援助が,かえって母子関係確立を遅らせていた。これは,「障害は受容されるべきである」「児に触れることで母子関係は促進される」という看護常識を,実際の看護に安易に当てはめる危険性を示した。母子関係確立過程の一つの段階を経過するのに要する時間に,大きな個人差があり,母親を取り巻く環境も考慮しながら関わっていくことが必要である。


Key words: 予後不良児,染色体異常児,精神的支援,発達モデル,コミュニケーション