仙台赤十字病医誌　Vol. 17, No. 1, 101-105, 2008

症例報告

骨頭温存をはかった壮年期大腿骨骨頭骨折の1例

仙台赤十字病院　整形外科

坂本　　敬　　入江　太一　　大山　正瑞
田代　尚久　　神谷　武志　　北　　　純

The Case of Comminuted Femoral Head Fracture
with Traumatic Dislocation of the Hip

Department of Orthopaedic Surgery, Japanese Red Cross Sendai Hospital

Takashi SAKAMOTO, Taichi IRIE, Masazumi OYAMA,
Naohisa TASHIRO, Takeshi KAMIYA and Atsushi KITA

要旨

壮年期の股関節脱臼骨折に伴う大腿骨骨頭骨折の1例に骨頭温存をはかったので，その中期成績を報告する。症例は35歳女性の交通外傷によるPipkin分類Type 2の大腿骨骨頭骨折である。骨頭は矢状面で大きく3つに割れ，頚部後外側部から骨頭荷重部中央が連続する部分と骨頭内側の前方および後方の骨片にわかれ，各々転位しており粉砕に近い骨折型であった。骨頭荷重部の内側に骨欠損を生じたが骨接合術を施行した。術後6カ月の免荷を行い，術後6年の単純X線で骨頭は多少扁平化し，関節症性変化を認めているが，日常生活での障害は少ない。骨頭温存には大腿骨頚部後外側部から骨頭外側の荷重部が温存されている事が重要と考える。

Key words: femoral head fracture, traumatic dislocation of the hip