仙台赤十字病医誌　Vol. 17, No. 1, 95-99, 2008

症例報告

後腹膜線維症に併発し，ステロイド療法が著効した間質性肺炎の1例

仙台赤十字病院　呼吸器科，同　泌尿器科^*

三木　　誠　　太田　章三^*　　清水川　稔
石川　哲子　　岡山　　博　　佐藤　正俊

Successful Treatment with Steroid for Interstitial Pneumonia associated
with Retroperitoneal Fibrosis

Department of Respiratory Medicine, Department of Urology^*, Japanese Red Cross Sendai Hospital

Makoto MIKI, Shozo OTA^*, Minoru SHIMIZUKAWA,
Tetsuko ISHIKAWA, Hiroshi OKAYAMA and Masatoshi SATOH

要旨

症例は52歳女性。平成19年1月から，腹部・背部痛が出現し近医受診。当院泌尿器科を紹介され，腎盂腎炎の診断にて入院となった。右水腎症に対してダブルJカテーテルを留置。腹部CTおよびMRIで仙骨前面に腫瘤を認め，画像的特徴より後腹膜線維症と診断した。胸部X線，CTにて両肺野に多発陰影を認め呼吸器科紹介となり，気管支鏡検査施行。経気管支肺生検病理の結果，肺間質に炎症性細胞浸潤および器質化を認めた。間質性肺炎（器質化肺炎）の診断にてステロイドパルス療法を3日間施行後，PSL 30 mg/日経口投与を開始し，胸部および腹部陰影は縮小傾向となり，以後漸減した。PSL終了後の現在も再発を認めない。
　後腹膜線維症は1948年にOrmondらによって確立された疾患で，腹部大動脈を中心とした後腹膜に炎症性細胞浸潤と強い線維化をきたす。後腹膜線維症に間質性肺炎が併発した報告は少なく，貴重な症例と考えられる。

Key words: 後腹膜線維症，間質性肺炎，水腎症，ステロイド療法