仙台赤十字病医誌 Vol. 17, No. 1, 83-87, 2008
症例報告
昆布による食性イレウスの2例
仙台赤十字病院 外科
横山 直記 中川 国利 藪内 伸一
小林 照忠 遠藤 公人 鈴木 幸正
Two Cases of Intestinal Obstruction due to Tangle
Department of Surgery, Japanese Red Cross Sendai Hospital
Naoki YOKOYAMA, Kunitoshi NAKAGAWA, Shinichi YABUUCHI,
Terutada KOBAYASHI, Kojin ENDO and Yukimasa SUZUKI
要旨
昆布による食性イレウスの2例を経験したので報告する。症例1は53歳の男性で,腹痛と嘔吐を主訴とし,腹部単純X線写真で小腸に著明なガス像を,また腹部CT検査で拡張した小腸を認めた。以上からイレウスと術前診断し,緊急手術を施行した。回腸末端が内容物で閉塞し,切開すると結び昆布であった。症例2は69歳の男性で,腹痛と嘔吐を主訴とし,腹部単純X線写真や腹部CT検査で小腸に著明なガス像を認めた。以上からイレウスと術前診断し,入院翌日に手術を施行した。回腸が内容物で閉塞し,切開すると一塊となった昆布であった。いずれの例でも術前に施行した腹部CT画像を再検討すると,回腸閉塞部に含気性の海綿状腫瘤を認めた。食性イレウスはまれな疾患であり,術前診断するためには本疾患を念頭に置いた食内容や食習慣の問診,さらには詳細なる画像診断を行う必要がある。
Key words: 食性イレウス,昆布,腸閉塞