仙台赤十字病医誌　Vol. 17, No. 1, 75-81, 2008

症例報告

初期治療後に扁平足を生じた先天性内転足の1例

仙台赤十字病院　整形外科

安倍　美加　　入江　太一　　坂本　　敬
神谷　武志　　田代　尚久　　大山　正瑞
北　　　純

Flat Foot after Initial Treatment of Congenital Metatarsus Adductus : A case report

Department of Orthopaedic Surgery, Japanese Red Cross Sendai Hospital

Mika ABE, Taichi IRIE, Takashi SAKAMOTO, Takeshi KAMIYA,
Naohisa TASHIRO, Masamizu OYAMA and Atsushi KITA

要旨

症例は5歳男児。出生時より両先天性内転足を認め，徒手矯正，ギプス保持を行った後，矯正装具を装着した。3歳時，前足部の矯正は右足で良好だったが，左足では内転変形が残存し，両側扁平足変形を生じていた。扁平足の改善が見られず，4歳9カ月よりThe University of California Biomechanics Laboratory Shoe Insert(以下UCBL)に準じた足底装具を装着した。5歳現在，外見上，あきらかな前足部の内転変形はみられないが，両足扁平足を認め，両踵骨は軽度外反位だった。単純X線上，Lisfranc関節での内転変形が軽度残存していた。
　前足部内転の徒手矯正の際には立方骨に支点をおいてLisfranc関節で矯正を行い，軽度底屈位として踵骨の内・外反を中間位に保ち，後足部の外反外転変形を生じないよう注意を払う必要があり，本例では後足部の変形に対する注意が不十分だった。矯正は治療開始から医師により正しい手技で行うべきである。

Key words: 先天性内転足，徒手矯正，扁平足