仙台赤十字病医誌　Vol. 17, No. 1, 55-61, 2008

原著

新生児室退院後に高度の高ビリルビン血症のため
NICUに入院した成熟児の臨床的検討

仙台赤十字病院　総合周産期母子医療センター NICU

山田　雅明　　下寺佐栄子　　小松　貴紀
三条　雅敏　　千葉　洋夫　　高橋　立子
中江　信義

Term Neonates with Significant Hyperbilirubinemia
over Seventh day after Birth

Department of Neonatal Intensive Care Unit, Perinatal Medical Center,
Japanese Red Cross Sendai Hospital

Masaaki YAMADA, Saeko SHIMODERA, Takanori KOMATSU,
Masatoshi SANJO, Hiroo CHIBA, Ritsuko TAKAHASHI
and Shingi NAKAE

要旨

過去10年間に在胎37週以上，出生体重2,500 g以上で出生した児で，新生児室退院後に高ビリルビン血症の治療のためNICUに入院した15例について検討した。入院時の日齢は7〜30，総ビリルビン値は21.3〜33.7 mg/dlで，25 mg/dlを越えていたのは7例であった。全例，新生児室にいた間も高ビリルビン血症を認め，10例は新生児室で光線療法を受けていた。全例が母乳栄養であった。ほとんどの児の入院時体重は出生体重を下回り，母乳の摂取不足を示唆していた。治療（光線療法，人工栄養，点滴）に対する反応は良好で，ビリルビン値は速やかに低下した。患児に同胞がいる場合はその多くが，兄姉も新生児期に高ビリルビン血症で光線療法を受けていた。高ビリルビン血症を来しやすい遺伝的要因に母乳不足が加わって高ビリルビン血症をきたしたものと推察された。

Key words: 高ビリルビン血症，成熟児，母乳不足，Gilbert 症候群，光線療法