仙台赤十字病医誌　Vol. 17, No. 1, 43-48, 2008

原著

糖尿病患者における頚動脈病変の変化と血清脂質
およびsmall dense LDLの関連について

仙台赤十字病院　糖尿病代謝科

小竹　英俊

Relation between the Development of Atherosclerotic Lesion of Carotid Artery
and Serum Lipids, Small Dense LDL in Diabetic Patients

Division of Diabetes & Metabolism, Japanese Red Cross Sendai Hospital

Hidetoshi KOTAKE

要旨

糖尿病患者において頚動脈エコー検査を経年的に実施し，頚動脈病変の変化と血清脂質およびsmall dense LDLとの関連を検討した。頚動脈病変の変化により，糖尿病患者を改善・不変・悪化の3群に分類した。悪化群では改善・不変群に比して，罹病期間が長く，高血圧・喫煙の合併率が有意に高かった。また，悪化群ではFPG，HbA1c，TGの平均値が有意に高値を示した。さらに悪化群ではsmall dense LDL濃度が有意に高く，LDLサイズが25 nm未満の者の割合が有意に高かった。以上の結果から，small dense LDLの測定は大血管障害の予後の評価に有用となる可能性が示された。

Key words: 頚動脈エコー検査，maxIMT，血清脂質，small dense LDL