仙台赤十字病医誌　Vol. 16, No. 1, 55-61, 2007

症例報告

ペムベスト^®投与により，電解質異常ならびに
尿素窒素上昇をきたした1例

仙台赤十字病院　NST

大棒　雄大　　遠藤　公人　　相原　史弥
鎌田　文子　　鷲　　美紀　　佐藤　霧子
高橋　純子　　鈴木　由美　　下寺佐栄子
遠藤　尚文　　山下　和良

A Case of Hypernatremia and the Elevation of Blood Urea
Nitrogen Induced by Administratiom of PEMvest^®

Nutrition Support Team, Japanese Red Cross Sendai Hospital

Takehiro DAIBO, Kojin ENDO, Fumihiko AIHARA,
Fumiko KAMATA, Miki WASHI, Kiriko SATO,
Junko TAKAHASHI, Yumi SUZUKI, Saeko SHIMODERA,
Naobumi ENDO and Kazuyoshi YAMASHITA

要旨

61歳男性。低酸素脳症から脳障害となり身体障害者療護施設入所中だったが，誤嚥性肺炎を発症し当院へ入院した。胃瘻造設，気管造瘻術を施行されたが，低栄養と褥瘡の悪化のため栄養サポートチームが介入した。エンシュアH^®1,500 kcal/日にて栄養状態は良好に推移したが，褥瘡の更なる治癒促進のため，ペムベスト^®1,400 kcal/日に変更した。しかし，投与9日目にNa 165 mEq/l，Cl 112 mEq/l，尿素窒素（以下BUN）36.2 mg/dl，投与15日目にはNa 165 mEq/l，Cl 118 mEq/l，BUN 44.62 mg/dlまで上昇したため，ペムベスト^®の投与を中止し，エンシュアH^®1,500 kcal/日の再投与を行った。その結果，Na 135 mEq/l，Cl 98 mEq/l，BUN 14.3 mg/dlとデータは正常化した。今後もますます経腸栄養剤の使用頻度が増えると思われるが，処方内容変更時には電解質などのモニタリングが必要と考えられた。

Key words: 経腸栄養剤，高ナトリウム血症，高尿素窒素血症