仙台赤十字病医誌　Vol. 16, No. 1, 41-45, 2007

症例報告

妊娠16週で発症した常位胎盤早期剥離の1例

仙台赤十字病院　産婦人科

林　　千賀　　斎藤　美帆　　中里　浩樹
武山　陽一　　萬代　泰男　　千葉　裕二
谷川原真吾

Placental Abruption at 16th weeks of Gestation: A Case Report

Department of Obstetrics and Gynecology, Japanese Red Cross Sendai Hospital

Chika HAYASHI, Miho SAITO, Hiroki NAKASATO,
Yoichi TAKEYAMA, Yasuo MANDAI, Yuji CHIBA
and Shingo TANIGAWARA

要旨

常位胎盤早期剥離の発症頻度は全分娩の0.4から1.5% といわれ，ショック，DICなどの発症や胎児ジストレス，子宮内胎児死亡などを起こしうる重篤な産科合併症の一つである。今回我々は妊娠16週で発症した常位胎盤早期剥離を経験した。出血傾向により止血に苦慮し，全身的な集中管理を必要とした。ハイリスク群や性器出血を多量に認める症例では，常位胎盤早期剥離を念頭に置き，週数に関わらず，臨床症状の詳細な観察や超音波所見の変化の観察，凝固系を含めた血液検査を行う必要があると考えられた。

Key words: 常位胎盤早期剥離，DIC