仙台赤十字病医誌　Vol. 16, No. 1, 25-28, 2007

原著

常位胎盤早期剥離への帝王切開術の麻酔法

仙台赤十字病院　麻酔科

高橋　　徹　　嶋　　　武　　千葉　聡子
白鳥　隆明

Anesthesia for the Cesarean Section with Placental Abruption

Division of Anesthesia, Japanese Red Cross Sendai Hospital

Toru TAKAHASHI, Takeshi SHIMA, Satoko CHIBA
and Takaaki SHIRATORI

要旨

過去24年間の常位胎盤早期剥離への帝王切開術114例を対象に，麻酔法，児の状態，DICの発生に関し検討した。全身麻酔単独が18%，硬膜外麻酔併用全身麻酔が28%，手術終了後硬膜外カテーテル挿入全身麻酔が17%，脊髄くも膜下硬膜外併用麻酔（脊硬麻）36%，硬膜外麻酔が1%であった。児の死亡例は20%，児の高度アシドーシス例が24%，ほぼ児に問題がなかった症例が56% で，DICは32%に認められた。児死亡例や高度児循環障害例では全身麻酔のみとし，娩出時の児および手術所見によっては，必要があれば，術後に硬膜外カテーテルを挿入し，胎児の状態が良ければ脊硬麻を選択すべきと考えられた。

Key words: 常位胎盤早期剥離，帝王切開術，麻酔法