仙台赤十字病医誌 Vol. 16, No. 1, 3-6, 2007
論説
脂肪組織の内分泌病理学的展開
東北大学名誉教授
笹野 伸昭
Endocrine-pathological Development of Adipose Tissue
Professor Emeritus, Tohoku University
Nobuaki SASANO
要旨
脂肪組織からのホルモン産生が明らかとなって来たからには,ポストゲノムのシステム生物医学時代に対応する脂肪組織内分泌系について望ましい姿を論じた。動物では褐色脂肪織と白色脂肪織が共に重要な働きを示している。ヒトでは胎生期にその状態であるが,褐色脂肪織は生後に退縮し,成人では殆ど意味をなさない程となっている。全身に広く分布する脂肪組織について,局所解剖学的意義と小児期の姿について論じた。
Key words: 脂肪組織内分泌,システム生物医学,冬眠腺