仙台赤十字病医誌 Vol. 15, No. 1, 163-166, 2006

技術研究

清掃性を重視した義歯の製作について

仙台赤十字病院 歯科口腔外科

渡邊  健  長坂多賀子

Production of the Denture which Attached Great Importance
to Cleaning Characteristics

Dentistry and Oral Surgery, Japanese Red Cross Sendai Hospital

Takeshi WATANABE and Takako NAGASAKA

要旨

臨床上で汚れの付着した義歯はよく見受けられる。義歯の汚れの好発部位は上顎では,大臼歯部頬側歯頚部,下顎では前歯部舌側面であり,十分な義歯清掃を行っていても大唾液腺の開口部に近接しているため,汚れが付着しやすい。また義歯製作時に解剖学的形態を付与するための段差が形成されるため清掃性が悪くdenture plaqueをはじめとする汚れが停滞・付着し悪臭の原因となりやすい。特に下顎義歯前歯部舌側面は開口時に,露見する事が多い事から審美性が悪く,この部位の着色の除去・清掃性の向上を要望する患者は多い。そこで,義歯製作時に着色の好発部位の歯肉形成時に生じる歯頚線の付与等による段差をなくし,移行的に歯肉形成を行った結果,義歯の清掃性が向上し,良好な結果を得た。


Key words: 義歯の清掃性,義歯の汚染による為害性,denture plaque