仙台赤十字病医誌　Vol. 15, No. 1, 157-162, 2006

技術研究

APS-15SAの溶質除去能及び生体適合性の臨床評価

仙台赤十字病院　腎センター

松本　正弘　　伊藤　勇一　　佐藤　　豊
石橋　栄美　　永野　　純　　杉本　理絵
山口　裕二　　木下　康通

Evaluation of Clinical Performance and Biocompatiblity of
a APS-15SA Polysulfone Dialyzer

Kidney Center, Japanese Red Cross Sendai Hospital

Masahiro MATSUMOTO, Yuichi ITO, Yutaka SATO,
Emi ISHIBASHI, Jun NAGANO, Rie SUGIMOTO,
Yuji YAMAGUCHI and Yasumichi KINOSHITA

要旨

低分子量蛋白であるβ₂-マイクログロブリン（β₂-microglobulin: β₂-MG）は透析アミロドーシスの病因物質とされ，その除去を目的に除去性能の高いハイパフォーマンスメンブレン（high performance membrane: HPM）が開発されている。その中ではpolysulfone膜が最も多く使用されている。今回，小分子量物質の除去能向上を目的に，polysulfone中空糸膜をウェービング化し，更に，ハウジングを改良したダイアライザーAPS-15SAを使用する機会を得，従来使用しているAPS-15Sと溶質除去能及び生体適合性で比較検討した。患者10名に3ケ月使用後の比較では，クリアランス，除去率，クリアスペース，透析前値の変化で，APS-15SAに良好な結果が得られた。アルブミンの濾出量は，いずれのダイアライザーにおいても低く抑えられ，シャープな分画特性を有していた。生体適合性では，同種膜であるため著しい差は認めなかったが，いずれも優れた生体適合性を発揮していた。APS-15SAは，従来品の優れた膜質を継承しながら，高い除去性能を有するバランスの良い，臨床に適したダイアライザーであると考えられた。

Key words: β₂-MG, HPM, Polysulfone膜，生体適合性