仙台赤十字病医誌 Vol. 15, No. 1, 149-156, 2006

看護研究

母乳をやめる意思決定への影響要因に関する調査

仙台赤十字病院 看護部(4B病棟)

太田やよい  菅原さとみ

Factors of Decision-making to Discontinue Breast-feeding

Ward of 4B Japanese Red Cross Sendai Hospital

Yayoi OHTA and Satomi SUGAWARA

要旨

UNICEF/WHOは,小児保健・子どもの幸せにとって最も必要なものは母乳育児であるという基本的理解のもとで,1989年に世界中の産科施設に対して「母乳育児を成功させるための10か条」という共同宣言を勧告している。本研究は,母乳育児成功のための継続看護の資料とすることを目的とし,「母乳をやめる」という意思決定への影響要因を調査したものである。調査の結果,母乳継続期間と母親役割の受容に対する意識との関連は認められなかった。母乳をやめた理由の上位項目「分泌不良感」,「離乳食が進んだ」,「職場復帰のため」については個別的継続看護を実施することにより,母乳継続期間を延長することが可能であると考えられる。このことから,病棟と外来が連携した形での母親への母乳育児支援方法の見直しの必要性が示唆された。


Key words: 母乳継続期間,母乳育児,母性意識,育児支援