仙台赤十字病医誌 Vol. 15, No. 1, 131-136, 2006

看護研究

人工股関節全置換術を受けた患者が日常生活において
家族の援助に対し感謝の気持ちを感じる場面

仙台赤十字病院 看護部(5A病棟)

松本 亜矢

Situation Felt for Total Hip Arthroplasty Postoperative Patient
to be Helped to Family in Life

Ward of 5A Japanese Red Cross Sendai Hospital

Aya MATSUMOTO

要旨

THA術後患者が,退院後の生活で家族に対して感謝を感じる場面を調査し,継続して必要とされる看護の視点で家族の効果的な介入場面を明らかにした。これに基づき,患者への援助方法として家族へ指導を行う際の,具体的な日常的場面を取り入れた指導内容を検討した。その結果,家族に感謝の気持ちを感じる場面は @ 身体を動かし姿勢を維持する A 適切な飲食 B 学習 C 危険を避ける」の順に,高い傾向を示した。また,男性は術後の日常生活動作の注意点に関する項目が高いのに対し,女性は家事に関する項目が高い傾向を示し,家庭内での役割分担の違いの影響がうかがえた。以上の点をふまえ,家族が患者の在宅での生活を助けるにあたって,どのような場面で家族の援助が必要であるのかをより具体的に説明することで,家族への効果的な指導につなげていきたい。


Key words: 人工股関節置換術,変形性関節症,股関節,術後管理,指導,基本的ニード