仙台赤十字病医誌　Vol. 15, No. 1, 81-85, 2006

症例報告

腎血管筋脂肪腫に対して動脈塞栓術を施行した
結節性硬化症の3例

仙台赤十字病院　泌尿器科，
放射線科^*

山田　成幸　　太田　章三　　岡田　秀人^*

Transcatheter Arterial Embolization of Renal Angiomyolipomas Associated
with Tuberous Sclerosis Complex, Report of 3 Cases

Department of Urology,
^*Department of Radiology, Japanese Red Cross Sendai Hospital

Shigeyuki YAMADA, Shozo OTA and Hideto OKADA^*

要旨

腎血管筋脂肪腫（angiomyolipoma: AML)に対して動脈塞栓術（transcatheter arterial embolization: TAE)を施行した結節性硬化症（tuberous sclerosis: TS)の3例を経験した。症例1は39歳女性。両側多発性AMLに対して計7回のTAEを施行した。症例2は34歳女性。両側多発性AMLに対して計3回のTAEを施行した。症例3は28歳女性。両側多発性AMLの1つに対してTAEを施行した。3例とも現在の腎機能は正常。TSに合併するAMLは，散発性AMLに比べ両側性，多発性，症候性の傾向にある。また，若年発症も多いことから，生命予後の延長に加えて腎機能温存のためにより適切な治療方法の選択が必要である。TAEは繰り返し安全に施行でき，腫瘍血管を選択的に塞栓することで腎機能の温存も期待できるため，多発性AMLに対する有用な治療方法である。

Key words: 腎血管筋脂肪腫，動脈塞栓術，結節性硬化症