仙台赤十字病医誌　Vol. 15, No. 1, 63-68, 2006

原著

帝王切開術で側臥位を一定時間保持する
脊髄くも膜下・硬膜外併用麻酔の検討

仙台赤十字病院　麻酔科
宮城社会保険病院　麻酔科^*

佐々木繁美　　嶋　　　武　　徳富昭一郎^*
岡田　吉史

Study of Keeping Lateral Position during Combined Spinal-Epidural
Anesthesia for Cesarean Section

Division of Anesthesia, Japanese Red Cross Sendai Hospital
^*Division of Anesthesia, Miyagi Social Insurance Hospital

Shigeyoshi SASAKI, Takeshi SHIMA, Shoichiro TOKUTOMI^*
and Yoshifumi OKADA

要旨

76例の帝王切開術で，リドカインをくも膜下腔に注入後，一定時間側臥位を保持する脊髄くも膜下・硬膜外併用麻酔を行った。側臥位の時間は，脊髄くも膜下麻酔の効果の広がりの程度により決定した。この方法により，脊麻の広がりを制御することが出来た。この方法で麻酔を行った患者のうち，昇圧薬を必要とした患者は12名（16%）で，1分後のアプガースコアが7以下の症例は6例（9%）であった。今回の新しい脊硬麻で帝王切開を行うと，母体の血圧を低下させることなく，児の状態を良好に保ち，充分な無痛域を得ることができる。

Key words: 帝王切開術，脊髄くも膜下・硬膜外併用麻酔，側臥位保持