仙台赤十字病医誌　Vol. 15, No. 1, 57-62, 2006

原著

心身障害児（者）に対する噴門形成術の検討

仙台赤十字病院　小児外科
宮城県立こども病院　外科^*
市立総合磐城共立病院　小児外科^**
東北大学病院　小児外科^*3
慈泉会相澤病院　外科^*4

遠藤　尚文　　神山　隆道　　佐野　信行^*
佐々木英之^**　　和田　　基^*3　　小田切範晃^*4

Fundoplication for Neurological Impaired Patients
with Gastroesophageal Reflux Disease

Department of Surgery, Japanese Red Cross Sendai Hospital
^*Department of Surgery, Miyagi Children's Hospital
^**Iwaki-Kyouritsu General Hospital, Department of Surgery
^*3Department of Pediatric Surgery, University of Tohoku School of Medicine
^*4Division of Surgery, Zisenkai Aizawa Hospital

Naobumi ENDO, Takamichi KAMIYAMA, Nobuyuki SANO^*,
Hideyuki SASAKI^**, Motoshi WADA^*3 and Noriaki ODAKIRI^*4

要旨

重症心身障害児（者）では，時として胃食道逆流症（以下GERD）に対しての外科的処置が必要となる。2002年4月から2005年12月まで，当科では重症心身障害児50例に噴門形成術を施行した。内訳は腹腔鏡下噴門形成術（以下LF）が41例，開腹による噴門形成術（以下OF）は9例であった。術後退院までの期間はLFで11±7日，OF例，LFからOFへの例の移行例では12±5.3日であった。著しい下肢の強直によるトロッカー留置困難，高度癒着や横行結腸ガス貯留他でOF移行が選択された。合併症は肝被膜損傷部からの出血2例，気胸1例であった。GERDは全例で改善した。逆流症再発は術後約2年で胃前方固定を行ったOFの1例で認められた。呼吸器症状のあった15例（LF 10例，OF 5例）のうち5例で著明に改善が見られた。LFは小さな手術創でOFと同等の成績が得られた。

Key words: 重症心身障害，胃食道逆流症，腹腔鏡下噴門形成術