仙台赤十字病医誌　Vol. 15, No. 1, 51-56, 2006

原著

腹腔鏡下胆嚢摘出症例の検討

仙台赤十字病院　外科

中川　国利　　白相　　悟　　村上　泰介
遠藤　公人　　鈴木　幸正

Clinical Study of Laparoscopic Cholecystectomy

Department of Surgery, Japanese Red Cross Sendai Hospital

Kunitoshi NAKAGAWA, Satoru SHIRASO, Yasusuke MURAKAMI,
Kojin ENDO and Yukimasa SUZUKI

要旨

2005年12月までに当科で施行した腹腔鏡下胆嚢摘出例3,195例を対象として，臨床的検討を行った。年齢は14歳から94歳で，男性1,430例，女性1,765例と女性がやや多かった。原疾患は，胆嚢結石症3,004例，胆嚢腫瘍191例で，総胆管結石症215例，急性胆嚢炎380例，胆嚢造影陰性719例，胆嚢癌26例を含んでいた。また開腹既往歴は1,259例で，延べ1,642回の手術歴を有していた。主な偶発症は，出血による開腹移行12例，胆管損傷9例，腸管損傷5例であり，開腹移行は86例であった。また疾患別では，急性胆嚢炎や総胆管結石症で開腹移行率が高率であった。腹腔鏡下胆嚢摘出術は，急性胆嚢炎例，総胆管結石例，上腹部開腹既往例を含むほぼ全ての胆嚢摘出例に適応がある。しかし腹腔鏡下に対処できない場合や重篤な偶発症が生じた場合には，躊躇せずに開腹手術へ移行する必要がある。

Key words: 腹腔鏡下胆嚢摘出術，腹腔鏡下手術，胆嚢結石症