仙台赤十字病医誌　Vol. 15, No. 1, 45-49, 2006

原著

マルチスライスCTを用いた冠動脈狭窄の非侵襲的診断

仙台赤十字病院　循環器内科
放射線科^*
東北公済病院　循環器科^**

池田　　淳　　岡田　秀人^*　　杉村　彰彦^**
福地　満正^**

Non-invasive Diagnosis of Coronary Stenosis
Using Multi-Slice Computed Tomography

Department of Cardiology
^*Department of Radiology, Japanese Red Cross Sendai Hospital
^**Department of Cardiology, Tohoku Kosai Hospital

Jun IKEDA, Hideto OKADA^*, Akihiko SUGIMURA^**
and Mitsumasa FUKUCHI^**

要旨

冠動脈狭窄を有する，狭心症患者2例について，非侵襲的にマルチスライスCT (MSCT）を用いた診断と冠動脈造影による所見の比較検討を行った。検討症例では2例ともMSCTで狭窄の診断は可能であったが，検討症例では冠動脈狭窄の狭窄度が，MSCTで過小に評価される傾向が見られた。
　MSCTによる冠動脈狭窄の診断は，冠動脈造影に比較して，患者に与える侵襲の点で大きなメリットがある。しかし，現状ではMSCTの診断に加え，冠動脈造影が行われている。今後，CTの技術的進歩に伴い，診断精度の向上が期待される。

Key words: multi-slice CT (MSCT), Coronary stenosis, Coronary Angiography