仙台赤十字病医誌 Vol. 15, No. 1, 11-17, 2006

総説

外耳道異物

仙台赤十字病院 耳鼻咽喉科

松谷 幸子

Foreign Bodies in the External Auditory Canal

Department of Otorhinolaryngology, Japanese Red Cross Sendai Hospital

Sachiko MATSUTANI

要旨

外耳道異物では強い痛みがある場合や生きた昆虫が入った場合は早急な処置が必要である。耳穴式補聴器を使用している高齢者ではボタン型電池が入ったのに長期間,気がつかないことがある。ボタン型電池による障害は組織深達度が深く,広範な組織壊死をひきおこすので痛みがなくても,できるだけ早く除去する必要がある。豆類も膨化する 危険があれば可及的早期の除去が望ましい。パチンコの玉,ビービー弾など外耳道の球形異物はつかみにくく,つかみ損ねると深部に落ち込む。無理な操作をすると外耳道の出血や思わぬ合併症をきたす。少しでも危険があれば無理をせず全身麻酔下の待機手術とする。原則的には異物摘出は耳鼻咽喉科での処置を要するが,緊急避難的に異物が入った耳を下にし,少し異物の周辺にスペースをつくり,重力で体外に落下させる方法を紹介した。


Key words: 外耳道 (external auditory canal),異物(foreign body),球形異物(spherical foreign body)