仙台赤十字病医誌　Vol. 14, No. 1, 55-59, 2005

症例報告

壊疽性膿皮症を合併したステロイド抵抗性潰瘍性大腸炎に
対し経口シクロスポリン製剤（ネオーラル^®）が
有効であった1例

仙台赤十字病院　消化器科
皮膚科^*

山下　和良　　熊谷　裕司　　森元　富造
菅野　　厚　　田畑　伸子^*

A Case of Steroid-Resistant Ulcerative Colitis with Pyoderma
Gangrenosum Controlled by Oral Cyclosporin (Neoral^®)

Department of Gastroenterology,
^*Department of Dermatology, Japanese Red Cross Sendai Hospital

Kazuyoshi YAMASHITA, Yuji KUMAGAI, Tomizo MORIMOTO,
Atsushi KANNO and Nobuko TABATA^*

要旨

潰瘍性大腸炎の多くは副腎皮質ステロイド，salazosulfapyridineやmesalazineなどにより緩解導入が可能である。今回，再燃を繰り返すステロイド抵抗性の潰瘍性大腸炎に壊疽性膿皮症を合併した症例に対して，経口シクロスポリン製剤のネオーラル^®を投与し，緩解導入とステロイドの減量，離脱をなしえた。
　従来の経口シクロスポリン製剤であるサンディミュン^®と比べ，吸収が安定しているネオーラル^®の初期からの投与は有力な治療の選択肢の一つになると考ええられた。

Key words: ステロイド抵抗性潰瘍性大腸炎，経口シクロスポリン製剤，ネオーラル^®，壊疽性膿皮症