仙台赤十字病医誌　Vol. 14, No. 1, 25-31, 2005

症例報告

仙台赤十字病院における小児化膿性関節炎の診断と治療

仙台赤十字病院　小児内科
整形外科^*

木村　正人　　田中　佳子　　千葉　　靖
永野千代子　　大山　正瑞^*　　北　　　純^*

Management of Septic Arthritis in the Pediatric Patients
in Japanese Red Cross Sendai Hospital

Department of Pediatrics,
^*Department of Orthopedics, Japanese Red Cross Sendai Hospital

Masato KIMURA, Yoshiko TANAKA, Yasushi CHIBA,
Chiyoko NAGANO, Masamizu OHYAMA^* and Atsushi KITA^*

要旨

小児の化膿性関節炎は早期の診断と緊急手術を要することの多い急性疾患であり，治療の遅れは骨関節に重篤な変形と障害を後遺する可能性がある。乳幼児に好発し関節症状が不明確であることから，採血検査にて炎症所見を把握するのみならず，緊急MRI画像診断とレントゲン像，関節穿刺液の性状検査により手術適応を判断すると同時に，病態をもたらした起炎菌と原病巣の特定に向けて注意深い病歴聴取と全身の診察が必要である。筆者らは平成15年度中に5例の本疾患を経験した。そのうち2例においては，無症状のまま中耳炎から波及した乳突洞炎（Masked mastoiditis）が原病巣と考えられた。本疾患が疑われた場合には，整形外科・小児科・耳鼻咽喉科などの複数科の協力体制による病態の把握と診療が重要であった。

Key words: children, diagnosis, infection, osteomyelitis, mastoiditis