仙台赤十字病医誌　Vol. 14, No. 1, 21-24, 2005

原著

帝王切開術患者の皮膚・くも膜下腔，硬膜外腔間距離の検討

仙台赤十字病院麻酔科

渋澤　雅和　　外山　裕章　　吉田　明子
滝野　和哉　　嶋　　　武

Distance from the Skin to the Subarachnoidal, to the Epidural Space
in Patients who were Underwent Caesarean Section

Division of anesthesia, Japanese Red Cross Sendai Hospital

Masakazu SHIBUSAWA, Hiroaki TOYAMA, Akiko YOSHIDA,
Kazuya TAKINO and Takeshi SHIMA

要旨

帝王切開術時の，皮膚とくも膜下腔，皮膚と硬膜外腔間の穿刺距離と，妊娠前・手術時の体重またはbody mass index (BMI)との関連を検討した。対象は妊娠35週以上の帝王切開術症例で，くも膜下腔L_2–3，硬膜外腔T_11–12を目標として穿刺した106症例であった。皮膚・くも膜下腔間距離は5.2±0.7cm，皮膚・硬膜外腔間距離は3.8±0.7cmであった。くも膜下腔・硬膜外腔の深さと妊娠前・手術時の体重・BMIは，すべて有意に相関し，相関係数はほぼ同じ0.6であり，妊娠前・手術時でほとんど変わりなく，相関式の傾きもほぼ同様であった。帝王切開術時，皮膚・くも膜下腔間距離と皮膚・硬膜外腔間距離は，妊娠前・手術時のいずれでも体重・BMIとほぼ同様に相関した。妊娠前でも手術時でも同様に深さを推定できると思われる。

Key words: 帝王切開術，皮膚・くも膜下腔間距離，皮膚・硬膜外腔間距離，妊娠前・手術時体重，妊娠前・手術時BMI