仙台赤十字病医誌　Vol. 14, No. 1, 13-19, 2005

原著

開腹移行した腹腔鏡下胆嚢摘出症例の検討

仙台赤十字病院　外科

中川　国利　　白相　　悟　　村上　泰介
遠藤　公人　　鈴木　幸正　　桃野　　哲

Conversion to Laparotomy during Laparoscopic Cholecystectomy

Department of Surgery, Japanese Red Cross Sendai Hospital

Kunitoshi NAKAGAWA, Satoru SHIRASO, Yasusuke MURAKAMI,
Koujin ENDOU, Yukimasa SUZUKI and Satoshi MOMONO

要旨

開腹移行した腹腔鏡下胆嚢摘出症例について検討した。対象は過去3年間に腹腔鏡下胆嚢摘出術を試みた731例のうち，開腹移行した21例とした。対象疾患は胆嚢結石症687例，胆嚢腫瘍44例で，総胆管結石症76例，急性胆嚢炎116例，慢性胆嚢炎60例，胆嚢癌8例を含んでいた。また299例（40.9%）で延べ362回の開腹既往歴を有していた。開腹移行した要因は，癒着剥離困難13例，胆嚢癌4例，胆管損傷2例，出血1例および機械の不具合1例の計21例（2.87%）であった。また再手術例は，胆管損傷および出血各1例の計2例（0.27%）であった。腹腔鏡下胆嚢摘出術は手技に習熟すれば，急性および慢性胆嚢炎例，上腹部開腹既往例，総胆管結石例を含む，ほぼ全ての胆嚢摘出例に適応がある。しかし腹腔鏡下に対処できない場合や重篤な偶発症が生じた場合には，開腹手術へ躊躇せずに移行することが大切である。

Key words: 腹腔鏡下胆嚢摘出術，胆嚢結石症，開腹移行