仙台赤十字病医誌　Vol. 13, No. 1, 73-80, 2004

症例報告

腹部MR検査におけるSINOP法の経験

仙台赤十字病院　放射線科

岡田　秀人　　安彦　　茂　　横山　高広
小林　新一　　三浦　一隆　　玉川　正志
高橋　　徹　　前田　美樹　　高橋　和義
花田　和夫

Experience with SINOP Technique in Abdominal MR Imaging

Department of Radiology, Japanese Red Cross Sendai Hospital

Hideto OKADA, Sigeru ABIKO, Takahiro YOKOYAMA,
Shinichi KOBAYASHI, Kazutaka MIURA, Tadashi TAMAGAWA, Tohru TAKAHASHI, Miki MAEDA, Kazuyoshi TAKAHASHI
and Kazuo HANADA

要旨

SINOP法は1回の息止め撮影でin-phaseとopposed-phaseの2種類のデータを同時に得る事が出来るグラジエントエコー系シークエンスである。MR撮像も複雑多様化する中で，本法は短時間に2種類の情報を得る事ができるので，当院でも上腹部実質性疾患に対してしばしば追加的に施行している。その経験の中から特に有用と思われる3症例を呈示し，若干の文献的考察を加えて報告した。本法は脂肪抑制法の1つであり，脂肪肝，脂肪を含む肝腫瘍，膵限局性脂肪浸潤の3症例いずれにおいても，質的診断上重要な役割を果たした。超音波検査やCT検査では限界がある場合，あるいは更なる確信を得たい場合などに積極的に試みる手法と考えられた。

Key words: 腹部MR検査，SINOP法，in-phase, opposed-phase