仙台赤十字病医誌　Vol. 13, No. 1, 23-31, 2004

原著

当科で経験した18トリソミー 24例の臨床的検討

仙台赤十字病院　総合周産期母子医療センターNICU

山田　雅明　　平井真紀子　　水城　弓絵
三条　雅敏　　千葉　洋夫　　高橋　立子
伊藤　　健　　中江　信義

A Clinical Study of 24 Cases with Trisomy 18

Department of Neonatal Intensive Care Unit, Perinatal Medical Center,
Japanese Red Cross Sendai Hospital

Masaaki YAMADA, Makiko HIRAI, Yumie MIZUSHIRO,
Masatoshi SANZHO, Hiroo CHIBA, Ritsuko TAKAHASHI, Takeshi ITO and Shingi NAKAE

要旨

当科開設以来22年間に入院した18トリソミー24例の臨床的検討を行なった。妊娠中17例に何らかの異常を指摘されていたが出生前に確定診断された症例はなかった。12例で胎児ジストレスを認めこのうち9例が緊急帝王切開された。18例で新生児仮死を認め6例が気管内挿管して蘇生された。無呼吸発作がほとんどの例で認められ，また半数に硬直性けいれん様発作を認めた。23例に心室中隔欠損症，17例に小脳低形成，22例に血小板減少を認めた。9例が人工呼吸器管理を受け，臍帯ヘルニアの3例が根治手術を受けた。生存率は1か月71%，3か月54%，1歳13% で，1歳以上の長期生存者3例は全例女児であった。本症は生命予後が不良で生存例でも精神運動発達遅滞が著明であり，出生前診断の普及が望まれる。出生した児の管理は個々の症例に応じて両親の気持ちを尊重しながら行なうことが必要である。

Key words: trisomy 18, clinical findings, treatment, survival