仙台赤十字病医誌　Vol. 13, No. 1, 17-22, 2004

原著

手術を施行した急性陰症51例の臨床的検討

仙台赤十字病院　泌尿器科，
東北大学医学部　泌尿器科^*，山形県立中央病院　泌尿器科^**

太田　章三　　川守田直樹　　沼畑　健司^*
小野久仁夫^**

Clinical Study of Acute Scrotum

Department of Urology, Japanese Red Cross Sendai Hospital*Department of Urology, Tohoku University School of Medicine
**Department of Urology, Yamagata Prefectural Central Hospital

Shozo OTA, Naoki KAWAMORITA, Kenzi NUMAHATA^*
and Kunio ONO^**

要旨

1992年10月から2002年12月までの約10年間に，急性陰症として当科を受診し，手術にて診断が確定した51例を対象に臨床的検討を行った。
　手術診断は，精巣捻転症17例（35%)，手術時解除していた精巣捻転症4例（8%)，精巣付属器捻転症25例（49%)，その他が5例であった。精巣捻転症は左側に多く，発症年齢は新生児と，10〜22歳であった。精巣付属器捻転症は左右差はなく，発症年齢では11歳以下の学童期に多かった。
　精巣捻転症17例では，発症後12時間以内に9例を手術し，新生児の2例を除く7例で精巣温存が可能と判断して精巣固定術を行った。発症後24時間以上経過した8症例では全例，精巣壊死のため精巣を摘除した。
　鑑別診断には，視診，触診に加えて，簡便で非侵襲的な超音波カラードプラ法が有用であり，これらで精巣捻転が疑われる場合，あるいは完全に否定できない場合には早期の手術が必要である。

Key words: 急性陰症，精巣捻転症，精巣付属器捻転症