仙台赤十字病医誌 Vol. 13, No. 1, 9-16, 2004

総説

腹腔鏡下胆摘出術の歴史と現況

仙台赤十字病院 外科

中川 国利

The History of Laparoscopic Cholecystectomy and Its Current Status


Department of Surgery, Japanese Red Cross Sendai Hospital

Kunitoshi NAKAGAWA

要旨

腹腔鏡下胆摘出術は1985年世界で初めて施行され,1987年にはCCDを用いた映像装置による胆摘出術が行われた。しかし当初は衆目を集めず,普及はしなかった。1989年アメリカ外科学会で発表されると,従来の開腹手術と比較して手術侵襲が少ないことから瞬く間に世界中に広まった。本邦では1990年5月に,当院では1991年6月に初めて施行された。手技の確立と手術機器の開発に伴い,腹腔鏡下胆摘出術は胆結石症に対する標準術式として急速に定着した。われわれも積極的に腹腔鏡下胆摘出術を行い,2003年12月までに2,685例に達した。最近は患者のhigh quality of lifeを考慮した,minimally invasive surgeryが推奨されている。腹腔鏡下胆摘出術を始めとした侵襲の少ない手術術式が,技術革新に伴い今後はさらに普及してゆくものと思われる。


Key words: 腹腔鏡下胆摘出術,腹腔鏡下手術,胆結石症