仙台赤十字病医誌　Vol. 12, No. 1, 67-69, 2003

症例報告

Congenital smooth muscle hamartomaの1例

仙台赤十字病院　皮膚科

目々澤　愛　　田畑　伸子

A Case of Congenital Smooth Muscle Hamartoma

Department of Dermatology, Japanese Red Cross Sendai Hospital

Ai MEMEZAWA and Nobuko TABATA

要旨

日齢7，男児。出生時より左側腹部に4cm×6cmの有毛性の淡褐色斑を認めた。擦ると一過性に膨隆し，赤紫色となった。病理組織学的には真皮内に存在する成熟した平滑筋束の増生で，毛包との連続性が認められた。臨床像と病理組織所見よりcongenital smooth muscle hamartomaと診断した。本疾患では，全身性疾患との関連や病変部の悪性化はなく，特に治療は必要としない。以前は稀な疾患と考えられていたが，2,600人の出生に一人の割合で発生したとの報告もあり，実際には，気づかれずに見逃されている可能性が高い。臨床像のみでは診断が難しい場合でも，病理組織所見をあわせてみることにより，比較的容易に診断をつけられるため，積極的に生検を行うことが重要である。

Key words: congenital smooth muscle hamartoma, 偽Darier徴候，Becker母斑