仙台赤十字病医誌 Vol. 12, No. 1, 55-59, 2003

症例報告

亜型悪性高熱症の1例

仙台赤十字病院 麻酔科

千葉 聡子  嶋   武  吾妻 俊弘

A Case of Abortive Malignant Hyperthermia

Division of Anesthesia, Japanese Red Cross Sendai Hospital

Satoko CHIBA, Takeshi SHIMA and Toshihiro WAGATSUMA

要旨

尺骨骨折のため観血的整復術を予定した12歳の男児にチオペンタール,スキサメトニウムで導入,酸素・亜酸化窒素・セボフルランで麻酔を維持したところ,導入時の咬筋硬直,その後体温上昇,多量の発汗を生じ,翌日血清CK,GOT,GPT,LDH,カリウムなどが高値を示した。亜型悪性高熱症と診断し,マンニトールで治療を行い軽快した。その半年後,同患児に対し抜術が予定され,頸部硬膜外麻酔により麻酔を行い,悪性高熱症を発症させずに管理できた。悪性高熱症の既往のある患者の場合,硬膜外麻酔のみによる麻酔が良いと思われた。


Key words: 悪性高熱症,硬膜外麻酔