仙台赤十字病医誌　Vol. 12, No. 1, 31-40, 2003

原著

胃癌切除例の臨床病理学的検討

仙台赤十字病院　外科

桃野　　哲　　鈴木　幸正　　工藤　貴志
中川　國利　　佐々木陽平

A Clinicopathological Evaluation of Operated Gastric Cancer

Department of Surgery, Japanese Red Cross Sendai Hospital

Satoshi MOMONO, Yukimasa SUZUKI, Takashi KUDOH,
Kunitoshi NAKAGAWA and Youhei SASAKI

要旨

1982年1月からの20年間に当科で手術した胃癌症例846例を対象に，臨床病理および治療成績について検討を行った。肉眼型分類では，0型404例，3型152例の順に多く，組織型分類では低分化腺癌が295例，高分化型管状腺癌が261例，中分化型管状腺癌が249例であり，深達度はT1（早期胃癌）が51.0%，T2が31.7%，進行度はIAが49.1%，IBが15.4%，IVが15.8%であった。手術術式は幽門側胃切除術535例，胃全摘術225例，噴門側胃切除術37例，非切除32例で切除率は96.2%であり，リンパ節郭清はD2が78%で，根治度Aの手術は71.1%であった。手術直接死亡例は14例（1.7%)，在院死亡例は53例で進行度IVが71.7%を占め36例が胃癌死であった。全手術例の5年生存率は63.2%で，根治度別に根治度Aが85.3%，Bが31.8%，Cが4.8%であった。進行度別ではIAが90.1%，IBが76.9%，IIが48.5%，IIIAが30.7%，IIIBが19.6%，IVが2.4%であり，T1は88.7%，N0症例は83.8%であり，消息不明例は55例（6.5%）であった。

Key words: 胃癌，5年生存率