仙台赤十字病医誌 Vol. 11, No. 1, 97-105, 2002

技術研究

クリーンカプラーと従来型カプラーにおける
透析液汚染の比較検討

仙台赤十字病院 腎センター

佐藤  豊  松本 正弘  伊藤 勇一
寺島 理江  石橋 栄美  山口 裕二
木下 康通

The Comparative Examination between Clean Coupler and
Conventional Type Coupler on Dialysate Contamination

Kidney Center, Japanese Red Cross Sendai Hospital

Yutaka SATO, Masahiro MATSUMOTO, Yuichi ITO,
Rie TERASHIMA, Emi ISHIBASHI, Yuji YAMAGUCHI
and Yasumichi KINOSHITA

要旨

 従来型カプラーの構造上の欠点を改良したクリーンカプラーと従来型カプラーを用い,当院で行っている酸性水浸漬法による消毒を行い,カプラーの汚染度を細菌培養とエンドトキシン濃度で比較検討した。この結果,検討開始2ヶ月及び6ヶ月後での細菌培養では消毒前の従来型カプラーは,すべてにおいてグラム陰性桿菌が検出され,ET濃度についてもダイアライザー接続直後に一過性の高値を認めた。消毒後には全てのカプラーで,細菌は認めなかった。しかし,クリーンカプラーでは,消毒前でも細菌は検出されず,ダイアライザーへ接続した後でも,ET濃度の上昇は認めなかった。以上から,クリーンカプラーは汚染されにくく,酸性水を用いた消毒を行う事で,清浄化された透析液を,より無菌的に供給することが可能であると考えられた。


Key words: 酸性水,クリーンカプラー,エンドトキシン,カプラー汚染,透析液清浄化