仙台赤十字病医誌　Vol. 11, No. 1, 73-76, 2002

看護研究

手術に伴う内服薬中止に対する慢性疾患患者の不安

仙台赤十字病院 看護部（5B病棟)

須田英理子　　今野　美香　　原　　玲子

Anxiety of Quitting Routine Medication by the Surgical
Patients Suffering from Various Chronic Disease

Surgical Ward, Japanese Red Cross Sendai Hospital

Eriko SUDA, Mika KONNO and Reiko HARA

要旨

　近年，生活習慣病を合併した手術患者が多く，仙台赤十字病院外科病棟においても，慢性疾患の内服薬治療を要する手術患者が約50%を占めている。これらの患者は，手術のため一時的に内服を中止するが，内服薬中止により慢性疾患悪化への不安の有無の実態を把握するため，術前と術後の意識調査を実施した。
　術前，術後共に約30%の患者が，内服薬中止による慢性疾患悪化への不安を感じていた。不安のない患者の約40%は，理由として「先生に任せれば安心」の回答が多く，単に不安がないのではなく，医療従事者を信頼している現われであると思われた。手術に伴う内服薬中止は，慢性疾患を抱える手術患者の不安の一つになり得ることを，医療従事者は考慮する必要がある。

Key words: 慢性疾患合併手術患者，内服薬中止，手術に伴う不安