仙台赤十字病医誌　Vol. 11, No. 1, 55-59, 2002

症例報告

高齢発症のBronchiolitis Obliterans Organizing Pneumonia (BOOP）が疑われ，
低容量ステロイド療法が奏功した1例

仙台赤十字病院　呼吸器科

三木　　誠　　石川　哲子　　岡山　　博
佐々木晴邦

An Elderly Case of Bronchiolitis Obliterans Organizing Pneumonia
(BOOP) : Successful Treatment Using Low-dose Prednisolone

Department of Respiratory Medicine, Japanese Red Cross Sendai Hospital

Makoto MIKI, Tetsuko ISHIKAWA, Hiroshi OKAYAMA, and Harukuni SASAKI

要旨

　症例は83歳女性。基礎疾患はなく，平成13年10月下旬より湿性咳嗽が出現。その後，呼吸困難が強まったため，11月1日入院となった。胸部X線写真では両側スリガラス状陰影およびコンソリデーション（融合浸潤影）を認め，抗生剤による治療を開始したものの改善せず，陰影が急激に広がり呼吸不全が悪化したため，画像を中心とした臨床データーからBronchiolitis Obliterans Organizing Pneumonia (BOOP）と診断し，プレドニゾロン15mg/day経口投与を開始した。その後，骨粗鬆症を合併したものの，陰影および呼吸不全は改善し，軽快退院となった。肺炎と診断され，抗生剤に反応せず死に至る高齢者の中には，postinfection BOOPが含まれており，今回の症例のように副作用に留意して低容量ステロイド療法を積極的に適応すべきであると考察された。

Key words: BOOP，低容量ステロイド療法，高齢者，肺炎，副作用