仙台赤十字病医誌　Vol. 11, No. 1, 47-54, 2002

原著

大腸癌切除例の臨床病理学的検討

仙台赤十字病院　外科

桃野　　哲　　鈴木　幸正　　豊島　　隆
中川　国利　　佐々木陽平

A Clinicopathological Evaluation of Operated Colorectal Cancers

Department of Surgery, Japanese Red Cross Sendai Hospital

Satoshi MOMONO, Yukimasa SUZUKI, Takashi TOSHIMA,
Kunitoshi NAKAGAWA and Youhei SASAKI

要旨

　1982年から2000年までの大腸癌手術症例は1,192例で，切除率は98.7%，直接死亡例は10例であった。内訳は結腸癌707例，直腸癌485例で，男女別では男690例，女502例であった。組織型では高分化腺癌は69.2%，中分化腺癌20.6%で，壁深達度はm 8.2%, sm 20.8%, mp 13.4%, ss, a1 50.0%であり，リンパ節転移無しが70.6%, n₁(+) 19.5%, n₂(+) 7.1%であった。組織学的stageは，0が8.1%, I 29.4%, II 30.5%, III 32.9%, IV 9.1%で，組織学的根治度Aは88.9%, B 1.9%, C 9.2%であった。5年生存率は，直腸癌66.6%，結腸癌74.5%，全症例では72.4%で，組織学的stage別の5年生存率はstage 0が81.3%, I 92.2%, II 81.5%, III 64.7%, IV 7.8%であった。また，組織学的根治度AとBの症例での5年生存率は結腸癌80.2%，直腸癌83.9%，全症例では81.7%であった。

Key words: 大腸癌，結腸癌，直腸癌，5年生存率