仙台赤十字病医誌 Vol. 11, No. 1, 37-39, 2002

原著

仙台赤十字病院におけるPSAによる
前立腺癌診断について

仙台赤十字病院 泌尿器科,
山形県立中央病院泌尿器科*

沼畑 健司  太田 章三  小野久仁夫*

Diagnostic Significance of PSA (Prostate Specific Antigen)
for Prostate Cancer

Department of Urology,Japanese Red Cross Sendai Hospital

Kenji NUMAHATA, Shozo OTA and Kunio ONO

要旨

 1996年から2001年にかけて,当院泌尿器科外来と人間ドックにおいてPSA(前立腺特異抗原:Prostate Specific Antigen)を用いた前立腺癌スクリーニングを施行した。4.1ng/ml以上の252例に120例の前立腺癌が発見された(47.7%)。年々前立腺癌の患者数は増加しており,特に50歳代,60歳代の増加が目立った。臨床病期T2以下は,PSA 10ng/ml以下が26例/28例(92.1%),PSA 10〜30ng/mlが28例/40例(70.0%)であった。PSA 30ng/ml以上ではT3以上の進行例が40例/50例(80.0%)であった。organ confinedと考えられる22症例に対し術前内分泌療法を行った後,根治的前立腺摘除術を施行した。摘出標本では,16例がorgan confinedで,6例ではunder stagingであった。


Key words: PSA,前立腺癌検診,根治的前立腺全摘術