仙台赤十字病医誌　Vol. 11, No. 1, 25-29, 2002

原著

硬膜外モルヒネ持続大量投与による術後鎮痛法の検討

仙台赤十字病院 麻酔科

千葉　聡子　　嶋　　　武　　村上　憲孝

Analgesic Effects of Continuous Epidural High-Dose
Morphine after Major Abdominal Surgery

Division of Anesthesia, Japanese Red Cross Sendai Hospital

Satoko CHIBA, Takeshi SHIMA and Noritaka MURAKAMI

要旨

　モルヒネを総量15〜20mg（約8mg/日）硬膜外持続投与した60歳以下の開腹胃切除術患者18名（大量群）と，モルヒネ10mg投与した18名（対照群）を対象として，追加鎮痛薬の投与回数と副作用発生率を，両群間で比較検討した。追加鎮痛薬の平均総投与回数は大量群:対照群で5回:10回，モルヒネ持続投与中の投与回数は3回:6回，持続投与終了後の投与回数は1回:4回で，全てに有意差があった。嘔気嘔吐，めまい，眠気，かゆみの発生率は両群間に有意差はなかった。大量群では，副作用の発生率に有意差はなかったが，術後の追加鎮痛薬の投与回数は少なかった。年齢が若く，全身状態が良い患者では，より多量のモルヒネを硬膜外持続投与することにより，よりよい疼痛管理が得られるのではないかと思われた。

Key words: 術後鎮痛，硬膜外麻酔，大量モルヒネ