第五十二回北日本放射線腫瘍学研究会 主題: 『根治照射を行ったⅢ・Ⅳ期の下咽頭癌』

 

主題: 『根治照射を行ったⅢ・Ⅳ期の下咽頭癌』
司会 青森県立中央病院 腫瘍放射線科 甲 藤 敬 一
司会コメント
 Ⅰ・Ⅱ期の下咽頭癌に対する放射線治療については,[早期の癌に対する標準的放射線治療方法確立のための研究](山田班)により比較的良好な治療成績が明らかとなりました。
 一方,Ⅲ・Ⅳ期の進行下咽頭癌については,遠隔転移のない,腫瘍因子や宿主因子から切除不能な下咽頭癌に対しては通常,根治放射線治療と化学療法の併用が行われているもののいまだ標準治療は定まっておらず,その治療方針や方法には施設間で大きな違いがあり,またその為か施設間での治療成績の差が大きい様に思われます。優れた治療成績が散見される一方,以前から当科の治療成績は惨憺たる結果であると考えておりました。北日本の各施設でも種々の制約のなかで様々な工夫をされている事と思われ,この機会に各施設での治療方針や治療方法などにつき教えていただこうと思いこの様な主題を提案させて頂きました。
 お忙しい中,札幌医大 晴山雅人先生,東北大学 有賀久哲先生,旭川医大 山品将祥先生には御発表頂き大変ありがとうございました。又,司会が不慣れで色々と先生方にご迷惑をおかけした事をお詫び申し上げます。
 当日は,晴山先生からはTS-1併用での通院照射について,有賀先生からは全身化学療法の強度を上げた放射線治療について,山品先生からは動注併用放射線治療についてのご報告が有り,私からは当科の現状について報告させて頂きました。
 各施設間での治療方針や治療方法が異なる為,議論の一致した取りまとめは無理でしたが今後の論点としては,進行度分類の方法をどの様にしているか・放射線治療時の術式に関して頚部と鎖骨上のつなぎ目を如何しているか・T3〜4の予後が不良であり,これらへの治療をどの様にしてゆくか・化学療法を動注で行う時の方法や長期間の影響について・根治照射時の晩期障害がどの程度なのか・重複癌が多い事,などの問題がある事が確認されました。