第四十回北日本放射線腫瘍学研究会記録 主題 「乳房温存療法の実態」,19-20
4) 当院における乳房温存療法の実態
山形大学医学部環境病態統御学講座 映像解析制御学分野
   石 山 博 條


症例数の変遷
 平成5年より徐々に増加し,現在は年に40例程度(図1)。

図1. 症例数の変遷

適  応
 放射線科としては適応を設けていない。しかし紹介される症例は,T1-T2,N0-N1,最大径3cm以下(最近は5cm程度まで)の症例が多い。術式は,扇状部分切除+腋窩郭清が大半を占める。

照射方法
 4MVエックス線で50Gy/25分割を基本としている。リンパ節転移が4個以上陽性である症例に,鎖骨上窩の照射を併用している。傍胸骨は照射していない。断端陽性・近接の場合は10Gy/5回の boost を電子線で追加している。
 患者体位は背臥位で,固定具使用。アイソセンターを通る面のみ線量分布図作成し,実際の患者の「型」をとってアイソセンターを通る面の形をデジタイザーで入力し線量計算をおこなっている。不均質補正(電子密度補正)せず。左右対称のWedge Filterを使用している。

照 射 野
 上縁:鎖骨骨頭下縁,下縁:乳房下縁から2横指尾側,内側縁:正中,外側縁:腋窩中線〜後線,前縁:乳頭から1cm,後縁:決めていない。肺の含まれる範囲が大きすぎる場合(3cm以上),内側縁と外側縁を再検討する。

治療成績
 経過観察期間の中央値:59ケ月(27〜127ケ月)で5年無再発生存率97%,5年生存率99%(図2)。

a  

b  
図2. 無再発生存率曲線(a), 生存率曲線(b)