宇宙航空環境医学 Vol. 62, No. 1, 13 2025
シンポジウム3
ポストISS時代の宇宙飛行士健康管理
ポストISS時代の宇宙飛行士健康管理
石橋 拓真
東京大学医学部附属病院
Future of Medical Operations in Commercial LEO Ecosystem
Takuma Ishibashi
The University of Tokyo Hospital
国際宇宙ステーション(ISS)の運用期限である2030年が6年後に迫る現在,米国企業を中心に地球低軌道(LEO)での有人宇宙活動の商業化が進められている。各国の宇宙機関によるLEOでの活動も,今後はモジュールやロケットなど様々な形で民間リソースを活用し,ISS時代とは異なる運用がなされていくことが想定される。例えば飛行士という人的資源の面では日本や米国,英国など各国の宇宙機関でのキャリアを終えた飛行士が民間企業で再度活躍する事例が増えており,LEOが官民様々な職務歴の飛行士による労働の場となる未来を予見させる。この「ポストISS時代」に於いて,医学運用の観点では,旅客である宇宙旅行者の安全の担保と並び,労働者たる飛行士の健康管理も依然重要なトピックであり,そのバックグラウンドの多様化に伴う新たな運用体制の構築が求められる。本セッションでは,官民それぞれの立場から,「職業宇宙飛行士の健康管理」という観点でのポストISS時代への展望を語っていただく。