宇宙航空環境医学 Vol. 61, No. 1, 13, 2024

文部科学省・宇宙航空人材教育プログラム

 

II. 将来の有人宇宙活動を支える宇宙医学人材養成プログラムの創出

S4-4. 岐阜医療科学大学における養成プログラム

田中 邦彦

岐阜医療科学大学

Training program in Gifu University of Medical Science

Kunihiko Tanaka

Gifu University of Medical Sceince

2022年度より文部科学省・宇宙航空科学技術推進委託費事業として,京都大学において『将来の有人宇宙活動を支える宇宙医学人材養成プログラムの創出』が採択された。
 同委託事業は主として宇宙機や人工衛星などハードウェアに関連する事業が多いが,前年度の徳島大学に続き,「宇宙医学」人材育成分野で京都大学を主体に「将来の有人宇宙活動を支える宇宙医学人材養成プログラムの創出」が採択された。
 この教育プログラムでは,宇宙医学に関する講義を実施し,宇宙医学の基礎知識を学ぶ機会を設定することに加え,宇宙医学研究を実施している研究室訪問を行い実験の現場を直に体験することができる。このうち岐阜医療科学大学は,臨床検査学科,放射線技術学科,看護学科,薬学科を有する医療系総合大学であり,ここでベッドレスト実験を行う計画となっている。頭部方向を6度下方に傾斜したベッドの上で生活すると,体液の頭部方向へのシフト,筋・骨への負荷減少,内耳前庭系への入力変化減少など,微小重力環境での生活を模擬できる。今回は教育プログラムの創出という趣旨と,倫理的側面から比較的身体変化の少ない10日間に限定して行う。その間,内耳前庭系電気刺激 (Galvanic Vestibular Stimulation;GVS)を内耳へのcountermeasureとして行い,Placebo群との違いが現れるか否かを検証する。被検者,計測者とも宇宙医学分野に興味のある学生ともども行い,考察することで宇宙医学に対する視点を養っていく予定である。