S3-2.　宇宙開発におけるジェンダー問題に関する議論─ジョリティにできることに注目して|Discussion on gender issues in space exploration─Focus on what the majority can do

学生セッション

S3-2.　宇宙開発におけるジェンダー問題に関する議論─ジョリティにできることに注目して

植村　優香¹，宮本　汐里²，濵砂　水喜³，下　結香⁴，遠藤　ほのか⁵，三垣　和歌子⁶

¹京都大学大学院医学研究科
²日本獣医生命科学大学獣医学部
³順天堂大学大学院保健医療学研究科
⁴沖縄県立南部医療センター・こども医療センター
⁵東北大学文学部人文社会学科
⁶筑波大学大学院人間総合科学学術院

Discussion on gender issues in space exploration─Focus on what the majority can do

Yuka Uemura¹, Shiori Miyamoto², Mizuki Hamasuna³, Yuika Shimo⁴, Honoka Endo⁵, Wakako Migaki⁶

¹Graduate School of Medicine, Kyoto University
²School of Veterinary Medicine, Nippon Veterinary and Life Science University
³Graduate School of Health Science, Juntendo University
⁴Okinawa Prefectural Nanbu Medical Center & Children’s Medical Center
⁵Faculty of Arts and Letters, Tohoku University
⁶Graduate School of Comprehensive Human Sciences, University of Tsukuba

【背景】　近年，有人宇宙開発は急速に加速し，地球以外の場に社会ができることが現実味を帯びてきている。その中で，理工学や医学，経済学を中心に行われてきた宇宙開発に，倫理学や法学など，幅広い学術領域が参入することによって，顕在化していなかったさまざまな問題が言語化され，議論の対象となってきている。このような流れを踏まえ，私たちは 2021年から「宇宙開発におけるジェンダー問題」についての検討を継続して実施してきた。
　【過去の検討内容】　これまでの発表では，宇宙開発におけるジェンダー問題の歴史と現状の把握¹や，ジェンダー平等の立場から宇宙開発を考えた際に導き出される理念についての検討²，具体的な提言¹，ロールモデルの検討³などを行った。私たちは議論を通して，宇宙開発に携わる者は分野を問わず，宇宙で生じる現象を解き明かしたり，宇宙進出に向けた技術的解決を目指したりするばかりでなく，一人一人がどのような宇宙社会を作りたいかを考えることが必要であるという結論に至った。また，ジェンダー問題の面から捉えると，意思決定者から見えなくなっている存在がいないかを考えることが必要であると考えた。宇宙開発に競争は付きものである。しかし，成果を争って先に進むばかりではなく，置き去りにしている課題について考えることは，宇宙開発や，その先にある宇宙社会をよりよいものとする一助となるのではないかと考えている。
　【本発表の内容】　本発表では，まず，ダイバーシティ，ジェンダー論，マイノリティとマジョリティなどの考え方を紹介し，ジェンダー問題に関する学術的議論の一端を示した。そして，ジェンダー問題は過去の問題ではなく，これからの宇宙開発においても議論するべきであると結論付けた。また，宇宙開発への女性の参加を進めるための提案を行った。
　【参考文献】
　¹下結香，齊藤良佳，植村優香，三垣和歌子。宇宙開発における働き方に関する議論 ─男女比に注目して─，第68回日本宇宙航空環境医学会，2022年11月24日～25日。
　²下結香，岡村結，植村優香。FRONIERで考えるジェンダー平等。京都大学宇宙総合学研究ユニット第15回シンポジウム，2022 年2月5日～6日。
　³宮本汐里，齊藤良佳，三垣和歌子，下結香，植村優香。FRONIERで考えるジェンダー平等#2。京都大学宇宙総合学研究ユニット第16回シンポジウム，2022 年2月11日～12日。