宇宙航空環境医学 Vol. 60, No. 2, 107-108, 2023

ニュースレター

4. 第68回大会関連
(1)第68回大会を終えて

野村 泰之

大会長

2022年11月24日(木),25日(金)の両日に東京・渋谷区文化総合センター大和田6階の「伝承ホール」にて第 68 回日本宇宙航空環境医学会大会を開催させていただきました。皆様のご協力のもとに無事に開催させていただくことができまして心より感謝申し上げます。依然としてコロナ禍がおさまらない状況でしたので前年に引き続きハイブリッド形式での開催とさせていただきました。大会テーマは「上を向いて」といたしました。近年のスマホながら歩きに加えて,コロナ禍でさらにうつむきがちな視線を,大空そしてさらにその向こうにある宇宙に向けましょうという思いを込めました。会場の渋谷区文化総合センター大和田には渋谷区随一のプラネタリウムも併設されており,まさに本学会にふさわしい施設と考えて選ばせていただきました。
 大会両日は快晴で,まだまだ再開発の進む渋谷の地に現地参加していただいた皆様,そしてリモート参加していただきました皆様など250名を超えるご参加をいただきました。また,アメリカ・ヒューストンからの複数のリモート講演や,中国・海南島からのリモート演題発表など,コロナ禍によって培われてきたWEBハイブリッド形式の学会ならではの発表・討論も無事におこなうことができました。大会を通じて「若い力」「すそ野の広がり」「国際協力」なども実感していただけたかと存じます。
 特別講演は東京理科大学の向井千秋先生にお願いさせていただき,また海外招聘講演としてNASAジョンソン宇宙センターのMulavara先生と韓国航空宇宙医学協会会長のKim先生にご講演をお願いさせていただきました。教育講演では志波直人先生の座長のもと,弓削 類先生が再生医療,リハビリテーションからウクライナ人道支援にまでいたる感動的なお話をしてくださいました。シンポジウムでは国際宇宙ステーションでの研究成果を大島 博先生の座長のもとで,岩崎賢一先生,大塚邦明先生,岡田淳志先生にご講演いただきました。さらに「コロナ禍の航空医学」シンポジウムとして松永直樹先生の座長のもとで,原 順子先生と岩永靖夫先生にコロナ禍3年目に突入する現況の貴重なご講演をいただきました。また,近年おおいに盛り上がってきております学生企画セッションではベイラー医科大学の Donoviel 先生の基調講演や宇宙関連事業を邁進される企業の皆様のご講演,そして医学部生の発表などますます多彩なプログラムをお届けすることができました。若手の会シンポジウムとして門馬 博先生には宇宙飛行士のリハビリテーションを,大会長特別企画として長谷川達央先生には南極越冬隊員のご経験をご講演いただきました。一般演題群におきましても,学生発表群も含めて非常に多くのご演題をご発表いただき闊達な討論もおこなわれました。
 長引くコロナ禍のために会員懇親会はおこなえませんでしたが,前回同様に学生企画のリモート懇親会を開催していただき,会員相互の交流も図ることができました。また会期終了後の12月には演題のオンデマンド配信をさせていただきました。
 なにぶん至らない点も数多くあったとは存じますが,長きにわたり在籍しそして研究を共にさせていただきましたこの宇宙航空環境医学会に少しでもお役にたてましたなら幸甚と存じます。そして非常に多くの皆様に多大なご支援ご援助をいただき無事に開催することができました。あらためて深謝申し上げます。