宇宙航空環境医学 Vol. 59, No. 2, 97-98, 2022

ニュースレター

第67回日本宇宙航空環境医学会・学生企画に携わって

山口 裕也

東京慈恵会医科大学医学部医学科6年

 第67回日本宇宙航空環境医学会にて,学生企画を担当させていただきました,東京慈恵会医科大学医学部医学科6年の山口裕也と申します。こうした権威ある学会に学生のうちから参加することができ,大変貴重な経験をさせていただきました。
 最初に大会長の南沢先生に学会参加のお誘いを受けたのは,2020年の春のことでした。当時の私は宇宙航空医学研究室に所属しておりましたが,こうした大規模の学会に携わった経験はなく,大変興味を持って参加させていただくことを決めました。当時私が学生企画を担当させていただくと決まった際には,学園祭の延長のような企画を想像しておりました。しかし,実際に話が進むにつれ,共に運営に協力してくれた学生の尽力もあり,想像を遥かに凌駕する大成功となりました。
 学生企画内では,漫画「宇宙兄弟」とのコラボ企画や宇宙飛行士の方とのパネルディスカッションを行いました。「宇宙兄弟」とのコラボ企画では,ALS(筋萎縮性側索硬化症)治療資金を募る「せりか基金」や,ALS新規治療法開発の現状,宇宙軌道上実験について議論を行い,「宇宙兄弟」の世界線に私たちがどれほど近づいたのかを検証しました。宇宙飛行士の方とのパネルディスカッションでは,今後身近になっていく宇宙ビジネスについて意見交換を行うことができました。近い将来多くの人類が宇宙へ向かうことができるようになっていく中で,宇宙医学がどのような役割を担っていくかなど,大変貴重なお話を伺うことができました。
 学会を通じて私が最も実感したのは,宇宙医学を志す学生の熱意です。本学会に参加していた学生は,宇宙に興味を持って主体的に研究活動等に取り組んでおりました。こうした一人一人の好奇心や努力には大変目を見張るところがあり,未開の部分を多く残す今後の宇宙医学をさらに発展させていく原動力になると確信しました。同時に,私にとってもこうした経験は刺激的であり,今後医療者となるにあたって,より一層気を引き締めるきっかけとなった学会でもありました。
 本学会を通じて,宇宙医学関係者やこれまで宇宙に興味のあった方はもちろん,初めて参加する方など,多くの方が宇宙を身近に感じる一助となれば幸いです。また,学生企画に携わった一員として,学生の皆さんの益々のご活躍を期待しております。
 最後になりますが,南沢先生を始め大会関係者の方々には,この場を借りて御礼申し上げます。また,企画運営を携わってくれた東京大学の石橋君,東京慈恵会医科大学の原口君,そして学生企画メンバーがいなければこのような素晴らしい企画とはなりませんでした。改めて,感謝申し上げます。