宇宙航空環境医学 Vol. 59, No. 2, 97, 2022

ニュースレター

(3)第67回大会に参加して 
第67回大会に参加して:最優秀学生賞受賞者

福田 明加

杏林大学保健学部理学療法学科

 はじめに,この度はこのような場で寄稿する機会をいただきまして誠にありがとうございます。第67回日本宇宙航空環境医学会大会の一般演題1におきまして「免荷歩行における筋活動の低下は下腿筋よりも中殿筋で大きな影響を受ける〜地上での免荷歩行から低重力環境における影響を推察する試み〜」という演題を発表させていただきました。今回,最優秀学生賞を受賞させていただき大変光栄に存じます。大会長の南沢享先生,大会事務局長の暮地本宙己先生をはじめ関係者の方々に心から感謝申し上げます。
 私は現在,杏林大学の理学療法学科において理学療法士の資格取得を目指し,日々勉学に励んでおります。今回は卒業研究で得られた結果を発表致しましたが,まずこの研究テーマを選んだ経緯について説明させていただきます。今回の研究で用いた免荷歩行は,月面や火星といった低重力環境に近い条件となるためミッション中の宇宙飛行士に与える影響を予測することができると考えましたが,実際の臨床場面においても脳卒中患者の早期歩行練習などで用いられております。そこで私達が卒業研究を行うにあたり,免荷歩行についての研究結果は様々な領域に応用できると考え,調べることと致しました。はじめは使い慣れない機材に戸惑ったり,コロナ禍ということもあり集まって作業できる日が少ないなど順調にいかないこともありましたが,協力して無事に進めることができました。
 今回卒業研究の指導教員である門馬博先生から「せっかくの機会なので」と勧めがありまして,学部生発表にエントリーすることを決めました。宇宙医学を専門とする先生方や宇宙への強い興味をもって学ばれている学生の皆様の前で発表すること,また門馬先生がちょうど星出彰彦宇宙飛行士のリハビリ業務のために渡米されており,近くにいない状況での参加であったことから,私の中では非常に大きな不安がありました。しかしはじまってしまうと発表時間は本当にあっという間でした。同時に私が発表した研究に対して興味をもっていただけたこと,質問をいくつもくださったことが非常に嬉しく思いました。他の先生方の発表も拝聴し,今の未熟な自分では理解が難しい内容もありましたが,視野が広がり,さらに勉学・研究への意欲が高まりました。改めて貴重なお時間を過ごさせていただきありがとうございました。就職後も医療の発展に貢献できるよう努めてまいります。