宇宙航空環境医学 Vol. 59, No. 2, 94-95, 2022

ニュースレター

5. 第67回大会関連 (1)第67回大会を終えて
第67回大会を終えて

南沢  享

東京慈恵会医科大学 細胞生理学講座・宇宙航空医学研究室

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の嵐がほんの束の間おさまり,僥倖の凪の間,2021年11月20日(土),21日(日)の二日間,東京慈恵会医科大学において,第67回日本宇宙航空環境医学会大会をハイブリッド形式で開催致しました。オンサイトで来場した参加者には体温チェックや問診表の提出など,感染予防対策をお願いすることになりましたが,本大会を無事に終了することが出来たのは,多くの方々のご支援によるものであり,まずは紙面を借りて,お礼申し上げます。特に前理事長である加地正伸先生からは常に励ましとお知恵を頂けて,大きな力になりました。また,暮地本宙己先生(大会事務局長)をはじめ,宇宙航空医学研究室の関係者には,労を厭わずに不慣れなハイブリッド形式の大会を運営してくれたことに感謝いたします。さらにコロナ禍の渦中とはいえ,大会の開催方法や演題発表募集などをタイムリーにお知らせすることがなかなか出来ずに,会員の皆様に多大なご心配をお掛けした事についても,改めてお詫び申し上げます。
 第67回大会のテーマは「生きる〜宇宙のなかで,どんなとこでも〜」でした。これは最近の宇宙への進出が新たな段階を迎えている状況のなかで,生命が宇宙だけでなく過酷な環境下で,いかに適応して生きてゆくのかを改めて見直してみたいと思ったからです。そのような思いでしたが,うまく伝わるプログラムになっていたかどうか,皆様のご批判を頂ければと思います。
 今回の大会では,ハイブリッドという開催形式以外にも新たな試みを行いました。本学会では若手の育成が急務であり,既に若手の会が活発な活動をしてくれていますが,さらに若い層の掘り起こしを狙いました。幸い,当教室には山口裕也君ら数名の医学生が研究に参加してくれていて,彼等にひとつのシンポジウムの企画を任せることにしました。企画そのものは東京大学の石橋拓真君を中心に立案され,僕らが想像した以上の素晴らしいプログラムを提供してくれたことは,参加者の記憶に新しいことと思います。それ以外に学生だけの発表セッションを設けました。これも学生達のネットワークをフル活用して演題を集めました。優秀な発表に学生賞を授与したことも好評でした。彼等が今後も継続して本大会に参加をする一助になってくれると良いと思います。
 試行錯誤のハイブリッド方式での開催でしたが,海外に在住されている方が参加しやすくなるという良い点もありました。今回は叶いませんでしたが,海外の一流研究者に交通費を気にせずに発表してもらうということも可能である点は,予算の面で裕福とは言い難い本学会にとって,コロナ渦が過ぎ去ったあとも是非,検討してゆくべきかと思います。
 さらに慈恵医大産業医学の会にご協力頂いて,講演の一部を産業医研修会にあてることが出来たことは,参加者を増加させた効果ばかりでなく,本学会の活動をこれまで認識されていなかった方々にも知って頂く良い機会になったと思っています。以上の点が複合的に作用して,当初想定していた以上の391名の方々に事前登録をしていただきました。このうち,当日会場に実際に足を運んでいただいた方も122名にもなり,主催したものとして大変嬉しいことでした。最後に,ハイブリッド方式は遠隔の方にも気楽に参加していただける点ではとても価値があると思いましましたが,一方,本当に久し振りに会場で歓談される参加者の活き活きした様子を拝見させて頂くと,オンサイトでの開催の意義を改めて実感致しました。第68回大会も無事にオンサイト開催が出来ること,さらに会員各位のご健勝を願って,報告を閉めさせて頂きます。ありがとうございました。