宇宙航空環境医学 Vol. 59, No. 1, 20, 2022

シンポジウム 5

高ストレス環境における健康と栄養を考える〜宇宙食に学ぶ栄養管理

宇宙飛行士の健やかな体とこころを保つ宇宙日本食の開発

藤田 惠

有限会社十勝スロウフード

Development of Japanese space food that keeps the astronaut’s healthy body and mind

Kei Fujita

Tokachi Slowfood Co., Ltd.

現在,宇宙食は大きく2つに分けられておりロシアとアメリカが製造する「一般食」とその他各国が自国の宇宙飛行士のために開発した「特別食」がある。特別食は,食事によるリフレッシュという側面から搭載され,特に米露と食文化の違う国の宇宙飛行士が十分なリフレッシュを行えるようになっている。宇宙日本食は主に日本人宇宙飛行士がISSに滞在するときに搭載が可能になる宇宙食である。現在ISS内に長期滞在する宇宙飛行士は6名体制を基本としており日本人宇宙飛行士はここ10年間で8回(1回につき1人)の長期滞在を行なっている。宇宙日本食には2021年10月の時点で26事業者47品目が認証されている。宇宙日本食の主な条件は以下の4点である。
 1.安全であること
 2.長期保存が可能であること
 3.衛生性が高いこと
 4.食べる時に危険要因が発生しないこと
 これらに加えて食事が持つ身体的健康面の維持とこころのリフレッシュという意味での条件を私の経験から解釈して開発した宇宙日本食である「北海道産牛とミニトマトのコスモバーグ」を事例に今後小規模事業者が目指す宇宙日本食について考える。