宇宙航空環境医学 Vol. 58, No. 2, 134, 2021

ニュースレター

6.  第67回大会を開くにあたり
第67回大会の大会長を務めるにあたり

南沢 享

東京慈恵会医科大学 細胞生理学講座・宇宙航空医学研究室

 2021年11月19日(金)から11月21日(日)に東京慈恵会医科大学(西新橋校)において,第66回日本宇宙航空環境医学会大会を開催させて頂くことになりました。日本宇宙航空環境医学会は航空医学を中心にして1955年に発足し,我が国の宇宙開発,海洋開発,環境医学の進歩にあわせて発展し,こうした進歩を支えてきました。このような学会が開催する大会を務めさせていただくことを,大変光栄に感じると同時に重い責任を実感しています。
 さて,長い人類の歴史の中で,ヒトはその活動領域を広げて極地と呼ばれる場所でも生命活動を営んできました。20世紀には遂に地球外に飛び出し,21世紀は本格的に地球外で生活することを考える時代になりました。そこで第67回大会のテーマは「生きる〜宇宙のなかで,どんなとこでも〜」といたしました。
 2020年は新型コロナウィルス感染症によって私達の生活様式が一変し,活動の自粛が求められた年でした。でも,私達はどんなとこでも生きていくように,どんな状況でも生きてゆけるはずです。抑欝的な状況のなかで,私達に希望を与えてくれたのが2020年12月6日,はやぶさ2の地球への帰還のニュースでした。また,2020年5月,米宇宙開発企業のスペースXが,民間で初めて国際宇宙ステーションへの有人飛行を実現させるという快挙を達成しました。日本からも野口聡一宇宙飛行士がスペースXの新型宇宙船,クルードラゴンに搭乗して3度目の宇宙飛行に成功しています。民間企業参入がもたらした現在進行形の宇宙開発費の低コスト化は,人類の宇宙進出を国家から民間へ,個から集団へとパラダイムシフトさせています。多数の人間が宇宙で暮らす状況が忽然と出現する,その前夜がまさに今であり,宇宙に向かっての私達の活動は全く自粛していせん。コロナウイルスの蔓延する中にあってなお,有人宇宙開発の潮流はその勢いを増すばかりです。さらに昨年,米国ではアポロ計画50年を記念して,アルテミス計画が発表され,2024年までに再び有人月面着陸を目指すということです。呼応するように日本でも,JAXAが宇宙飛行士新規募集を発表しました。奇しくも本大会は,宇宙飛行士募集選考の最中に開催される予定であり,有人宇宙開発の次のフェーズのスタートに立ち会える幸運に恵まれました。野口宇宙飛行士が願いを込めて宇宙船に命名したように,「レジリエンス」が今ほど求められている時代はありません。人類の本質は,宇宙のなかで,地球の上で,どんなところでも「生きる」ことであります。その原点に立ち返り,本大会が語り合える場となることを願っております。歴史ある本学会の大会開催にあたり,大会関係者一同,身を引き締めて邁進いたしますので,皆様どうぞご参加頂けますよう,よろしくお願いいたします。

 開催情報
 開催期間: 2021年11月19日(金)〜 11月21日(日)
 会場: 東京慈恵会医科大学(西新橋校)(〒105-8461 東京都港区西新橋3-25-8)
 アクセス: 都営三田線・御成門駅から徒歩3分
 大会ホームページ:今後公開予定

 お問い合わせの際は,以下までご連絡頂けますよう,よろしくお願い申し上げます。
 東京慈恵会医科大学 細胞生理学講座 宇宙航空医学研究室
 暮地本宙己 botimoto@jikei.ac.jp